人間性心理学ハンドブック

 日本人間性心理学会30周年を記念して、『人間性心理学ハンドブック』(創元社)が出版されました。

 

 

 

 

 

定価(5% 税込)  3,990円

刊行年月日  2012/09/19

ISBN  978-4-422-11549-8

頁数  420頁

 

 

 歴史・文化・社会とともに歩み続ける人間性心理学。本書の第1部は、研究と実践にまつわる「考えかたとアプローチ」そして「未来への可能性」を余すところなく紹介、全領域を網羅した《決定版ガイダンス》。その前半をふまえて第2部では、知恵の蓄積と発想の現在進行形を多角的に見渡し、重層的に整理した《読んでためになるワードマップ事典》。日本人間性心理学会30年の集大成として、学会の粋を集め満を持して編まれた堂々の書。

 

本著の刊行趣旨・編集方針(「はじめに」より抜粋)

① 日本人間性心理学会《創設 30 周年》記念出版。たゆまぬ研究・実践活動の成果を、学会の総力を結集して束ねることで、次世代の道標たらんとするとともに、“人間性心理学”の軌跡と展望を広く外部へ発信し、その理念と営みへの一層の理解と交流を期するものとする。

 

② 世界の人間性心理学の潮流が拠って立つ歴史・文化的背景を振り返り、研究・実践活動の「多様性」を整理しこの領域の“輪郭”を俯瞰する本書《第Ⅰ部》では、国際的な感覚で発展可能性をうかがうところにまで視野を広げる。かたや、幅広い領域にまたがる学問の鍵となる基礎用語を、その背景にある考え方の基盤や、現実場面での適応にまで踏み込んで読み解く《第Ⅱ部》は、読んで知的関心を誘発させ発想の契機になる“ワードマップ”として、初学者から中堅・ベテランの研究者・実践家にまで、新鮮な示唆を提供することを試みる。

 

 

 この本は、30 年という歳月を経た現時点でのわが国の人間性心理学が到達している現状をみごとに表している。本書には等身大のわが国の人間性心理学の姿が描かれている。こうして成った本書が、かくも「幅広い裾野」と「奥深い背景」を有する人間性心理学の“代表ゲート”あるいは“第一アクセス・ポイント”となることを願う。そして、これをひとつの大きな節目として、さらに私どもは人間性心理学を発展させていきたいと考えている。

 

第10期理事長 野島一彦

 

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目 次

第1部 人間性心理学の輪郭

 

第1章 人間性心理学とは

 人間性心理学の根幹をなす特徴と、世界史的な視野のもとでの思想的源流、そして欧米および日本における歴史を概観

 

 Section1 人間性心理学の定義と特徴

 Section2 人間性心理学の源流

 Section3 日本における人間性心理学の歴史

 

 

第2章 人間性心理学のアプローチ

 この学問・実践領域ならではの、長い歴史に支えられた多彩なスタンスと方法論と取り組みを紹介

 

 Section1 現象学的・哲学的アプローチ

 Section2 メタサイコロジカルなアプローチ

 Section3 パーソンセンタード・アプローチ

 Section4 フォーカシングとフォーカシング指向心理療法

 Section5 ゲシュタルト療法

 Section6 トランスパーソナルアプローチ

 

 

第3章 人間性心理学の実践領域

 実社会での多様な活動領域を報告

 

 Section1 学校教育における実践

 Section2 医療・看護における実践

 Section3 福祉と保健における実践

 Section4 産業領域における実践

 Section5 コミュニティにおける実践

 Section6 異文化・多文化間コミュニケーション

 Section7 社会的マイノリティへのまなざし

 

 

第4章 人間性心理学における研究方法と倫理

 実践と研究に活かす方法論と倫理の視点を取り上げる

 

 Section1 研究方法をめぐって

 Section2 倫理(実践と研究)をめぐって

 Section3 人間性心理学研究のめざすもの

 ――人間性心理学における方法論と倫理の実際問題

 

 

第5章 世界における人間性心理学の発展と展望

 世界における人間性心理学の発展と今後の展望を眺めわたす

 

 Section1 ロジャーズと人間性心理学

 Section2 21世紀の人間性心理学――海外の動向

 Section3 ヒューマニスティック・サイコロジーと東洋

 Section4 欧州における潮流――およびロシアの動向

 

 

第6章 人間性心理学の可能性

 人間性心理学の可能性を広げかつ深めていくうえで羅針盤となる視点のいくつかを見る

 

 Section1 〈意識〉研究の視点

 Section2 からだの視点

 Section3 〈イメージ〉の視点

 Section4 〈発達障害〉の視点

 Section5 構成主義の視点

 Section6 〈スピリチュアリティ〉の視点から

 Section7 生と死の視点

 

 

第2部 ワードマップ

 人間性心理学の研究と実践でよく使われる 114 のキーワードを、内容に応じて三種類の紙幅を用いて分かりやすく解説